電車は出発すると、しばらくは上沼垂の車両基地や、新潟貨物ターミナルの脇を走る。新潟到着間際の上り特急「いなほ」ともすれ違う。「いなほ」は「きらきらうえつ」と同じ白新線・羽越本線を走る特急電車である。乗客の中には、「いなほ」に乗ろうと思っていたのだが、偶然、その前を走る「きらきらうえつ」の指定券がとれてしまったといっている人がいた。乗ってみたら面白そうな電車だし、第一特急券がいらない。何だか得した気分だと話していた。急ぐ旅でなければ、多少時間がかかるのはそれほど苦にならない。鈍行ではなく、種別は快速電車。設備のわりに料金の安いお値打ちの列車だろう。「きらきら星」のメロディーのチャイムが流れる。最後の音程が上昇するところは、鉄道唱歌のチャイム(「汽笛一声、新橋を……」のメロディー上と同様である。若い車掌さんの声で車内放送が始まるが、一生懸命の説明に好感が持てる。いつの間にか単線になって阿賀野川の鉄橋を渡る。通路を挟んだ隣の席は地元の家族グループで大変賑やかだ。ローカルな話題ばかりが飛び出してくる。その間に白新線を走ってきた電車は、新発田で新津から延びてきた羽越本線と合流する。ジャンクションではあるが、「きらきらうえつ」は通過である。「この電車は新発田に停まらないんだね」と驚いている。確かに夜行列車を除いて昼間の特急は全列車とも新発田に停車するから、これは異例のことである。「県立新発田病院が……」「村上のジャスコで……」などローカルな話題はつきないようである。静かに列車の旅を楽しみたいので、席を立って運転台後ろの簡易展望スペースへ出かけてみる。